広報・IRのよくある転職理由7選

30代広報・IRのよくある転職理由7選こんにちは。広報・IR部門で10年以上働いている徳永です。

広報・IRを「憧れの仕事」と思っている人は少なくないでしょう。

しかし、その広報・IRの椅子を自らの意志でやめるケースももちろん多々あります。

燃え尽きて他職種に転職をしたり、他の会社の広報・IRに転職したりと人によって理由は様々です。

本記事では、筆者自身の転職体験や広報部門の同僚たちの事例を踏まえて、広報・IR担当者のよくある転職理由を紹介します。

理由①:メディアとの関係が上手くいかない

広報・IR担当者が最も手を焼くのは、メディアの記者や編集者、プロデューサーたちです。

自社のことがメディアに取り上げられることは、広報・IR担当者にとって大きなポイントなのですが、そこではどうしてもメディア担当者達との人間関係・リレーションをいかに良く築くかが重要になります。

必ず批判的要素を盛り込む新聞記者

メディア記者は、大手であればあるほど自分たちのことを正義の味方であると認識しています。

さらに「企業は過ちを犯すもの」と考えている記者も少なくありません。

広報・IR担当者がいくら良いニュースを提供しようと思っても、新聞記者たちは「その裏には何かあるはず」と疑ってかかります。

例えば、小学生向け教材として、2017年異例の発行部数を記録している「うんこ漢字ドリル」は、ほとんどすべてのマスコミに取り上げられました。

それもそのはずで、漢字嫌いな子供を一瞬で勉強好きに変えたのですから。

しかしメディアのニュースとしては「素晴らしい教材が誕生した」だけでは成立しないのです。

「批判的な見方」やいわゆる「ツッコミどころ」を盛り込むことで、話題性が上がってSNSでシェアされることも増えるので、こちらの情報をそのまま伝えてくれるとは限りません。

「うんこ」なんてふざけたもので勉学をするのはいかがなものか、といった論調にされることも大いにあるわけです。

もちろん記者のこうした批判精神は、社会にとって重要なものです。しかし、広報担当者にとってはとてもやっかいな精神です。

自社製品が新聞で紹介されると聞いて嬉しくなった広報担当者は、記者にさまざまな資料を渡したり、社長インタビューをアレンジしたりします。

なのに出来上がった記事を読むと「確かに評価が高い商品だが、一方で『欠陥が多い』と指摘する専門家もいる」となっているのです。

新聞記者たちは、わざわざ、批判的な見方をしている専門家を探して、コメントしてもらうのです。

全力で取材協力をした広報担当者としてはいたたまれないものがあります。

努力が無になる取材もある

準備や実施に労力をかけた取材内容がほとんど利用されずに無駄になるケースもあります。

取材対象によって各部署の人材との社内調整で、広報担当者は社内を走り回らなければなりません。

社長インタビューがほとんどカットされたりすると、広報担当者だけでなく広報室長も微妙な立場に立たされます。

社内で総スカンをくらうと、「辞めたい、転職したい」と思ってしまいます。

大反響を獲得した広報活動なのに叱られることも

広報担当者がメディアから受ける被害はこれだけではありません。

例えば、広報担当者がうまくメディアと連携して自社のある施設が取り上げられた結果、客がどっと押し寄せたというケースです。

本来なら、広報担当者は小躍りするほど嬉しいはずですが、自社施設にその反響を受け止めるだけのキャパシティがないと、混乱を招き、ひいては大クレームを引き起こします。

その結果、広報担当者は上司から「なんてことをしてくれたんだ!」と叱られてしまいます。

こうなる前の上司は「とにかく客を呼ぶ方法を考えろ」と口を酸っぱくして言っていたにも関わらずです。

これでは広報担当者のモチベーションが下がってしまうのも無理はありません。

理由②:決算数字が読めない

多くの企業では、広報とIRは1つの部署にまとめられています。

確かに両方とも「会社のことを外に知らせる」という共通点があるのですが、広報の相手は「世間一般」、IRの相手は「株主・投資家」という決定的な違いがあるため、広報担当者がIRに携わらないことも珍しくありません。

IR担当が数字に弱いと株価を揺るがしインサイダー取引になるリスクも

それまで広報の仕事しかしてこなかった人が、急にIRの仕事をやらされると、とてもとまどうでしょう。

俗な言い方をすれば広報は「軟らかい情報」を、IRは「硬い情報」をそれぞれ扱います。

IRが扱う「最も硬い」情報は、決算です。

この業務は株価を大きく揺るがすことがあるので、細心の注意が必要です。また、インサイダー取引につながる恐れもあるリスキーな仕事です。

つまり、広報からIRへの業務変更は、単なる担当替えにとどまらず、経理や財務の知識を身につけなければなりませんし、情報の取り扱い方法もいちから学ばなければなりません。

もちろん良い会社であれば、各人材の強みや経歴をしっかりと考えた人員配置をするのが当たり前ですが、会社によっては広報担当者がIR担当へ異動しなければいけないケースもあり、転職理由となりえます。

理由③:アイデアが出ない・広報の仕事が向いていない

広報や宣伝PRの仕事はクリエイティブな側面が強いため、アイデアを出すのが苦手で好きじゃない人にはキツくなってくるでしょう。

IR担当から広報担当への異動でもこれは起きます。IRは「事実がすべて」ですが、広報には「想像」が必要になるからです。

経理パーソン並みの知識を持つ人が広報に就くと大きなストレスに

例えば、ある調味料メーカーの広報PRプロモーション企画を例にしてみましょう
広報のPRプロモーション企画例
参考:「料理教室と企業のコラボレーション企画」(クスパ)

(※以下は、あくまでも架空の話で、実際のところはわかりません)

調味料メーカー社長がスタッフに「料理教室とのコラボ企画を考えろ」と指示したとします。

新しい調味料を売るためには、まずは料理のプロに認めてもらう必要があります。

そこで社長は、料理教室と提携して、講師にこの調味料を使ったレシピを考案してもらい、その料理教室で生徒たちにつくらせようと考えました。

この場合、実行する担当は企画室だったり営業部だったりしますが、広報室としても、この企画を話題性のあるモノする責任があります。

こういったクリエイティブな仕事を、株主向けの資料をつくっていた人が担当することになったら、大きなストレスを抱えることになるでしょう。

理由④:社内の人間関係と政治。味方がいない

人間関係が上手くいかない広報・IR担当者へ。辛いパターンと人間関係構築のコツ同僚たちにはあまり協力をしない一匹狼タイプの社員というのはどこにでもいます。

彼らは自分で仕事を組み立て、1人でそれに取り組み、きちんと成果を出します。なので上司や社長は、一匹狼たちの自由奔放な振る舞いを許します。

人脈作りに失敗すると仕事が進められなくなる広報・IR

しかし広報・IRの仕事は、絶対に担当者1人ではできません。どうしても社内の同僚たちの協力を得ないといけないのです。

営業・開発部門などであれば社内に味方がいなくても業務を遂行できますが、広報・IRは、社内の理解と協力が得られないと1歩も仕事を進めることができないからです。

製品をPRするためには、開発者や営業の協力が必要です。

決算発表や業績見通しの発表では、経理や財務担当者のアドバイスが欠かせません。

社内の人脈作りに失敗した広報・IR担当者は悲惨で、まったく仕事になりません。

20代の広報・IR担当者であれば、もし一度人脈作りに失敗したとしても、他部署の先輩方にお詫びをすることで再出発できます。若さゆえの過ちは、意外に簡単に許されます。

また40代の広報・IR担当者であれば、他部署に協力を求めるときに力技を発揮することができます。

「力技」とは、他部署の管理職に「これは社長直轄のプロジェクトですので、ご協力のほど」と上同士で話をつけてから、下の協力を得ることです。

しかし社内に味方がいない30代の広報・IR担当者は、未熟でもないしベテランでもないので、助けを期待することも従わせることもできません。

当然のように仕事に行き詰まり、転職を考え始めるでしょう。

理由⑤:評価をされない、出世できない

そもそも広報・IRの仕事は、これといった成果が見えづらい職種ではあります。

コストをかけて成果が見えづらい広報活動を充実させた結果、かえって売上が落ちてしまえば、社長は「うちの広報・IRは何をやっているんだ」と言い始めるでしょう。

広報・IR担当者の心構えとしては結果に一喜一憂しないことが重要です。

広報の宣伝PR予算を増やしたのに売上が落ちたということがあっても、そもそも製品に潜在能力がなければ、広報で販売のテコ入れをしたところで焼け石に水です。

広報活動による商品PRは、宣伝PRと異なり「じわぁ~」っと少しずつ効果が現れるものなのです。

「自分は広報・IRに向いていない、辞めたい」と思ったら、まずは自身の心の強さを見てみましょう。

広報としては最善を尽くしていると自信を持って言えるのであれば、立派な仕事をしていると言えるでしょう。

理由⑥:クレームに負けた

中堅の広報・IR担当者が仕事を嫌いになる理由の1つにはクレームもあります。

「クレーマー」「ブラック顧客」呼び方はさまざまですが、広報・IR担当者は彼らに対抗する手段を持ち合わせていません。

そのため、攻撃を浴びれば浴びただけ、ストレスが溜まっていきます。

人の悪意に触れすぎて疲労困憊

営業パーソンであれば、悪意に満ちたクレーマーに「もううちの商品を買わなくてもよい」と言えます。

それは、他の顧客で挽回する余地が残されているからです。

しかし広報・IR担当者が、まともにクレーマーと喧嘩してしまったら、会社のイメージを著しく傷つけることになってしまいます。

なぜなら、広報・IR部に言いがかりをつけるのは、顧客だけではないからです。その会社の商品を1度も使ったことがない一般人も、文句を言う時代なのです。

そういう人たちは、広報担当者のしかけたメディア・ニュースなどを見てクレームを入れてきます。

そして、広報・IR担当者が少しでも不快な態度を取ろうものなら、「それが客に対する態度か!」とエスカレートします。本当は客ではないのに、です。

広報・IRは、人の悪意にさらされやすい辛い仕事です。

広報・IR担当者は、「これからずっとこんなクレーマーたちと付き合っていかなければならないのか、辞めたい」と暗たんたる気分になるでしょう。

人の悪意に触れすぎると、例え自分に過失がなくても、人は疲労困憊するものなのです。

理由⑦:年収が低い

広報・IRの収入相場
出典:DODA平均年収ランキング2012:広報・IRの平均年収

広報・IRの仕事は辛い割にそこまで収入相場が高くありません。

転職サービスDODAの平均年収ランキング2012によると、30代広報・IRの平均年収は476万円となっており、100職種中41位となっております。

説明してきましたように、30代になって一気に仕事が忙しく大変になりがちな広報・IRなのに平均年収はさほど高くないのです。

もちろんこれは平均年収なので、企業によって差はあります。

そして実は、経営陣が優秀な人材で年収が高いキャリアを持つ人が多い会社ほど、直接のプロフィットに結びつかないけども大切な広報・IRの立場が良い場合が多いのです。

優秀な広報・IR担当者であるほど、転職をすることでキャリアアップを目指す人が増えてくるのです。

転職するべきか、今の会社に残るべきか

広報・IRのよくある転職理由について書いてきましたが、明確な転職理由は特にないのだけど、「転職しないでこのまま働いていていいのだろうか・・・」「今のままで終わりたくない」となんとなくモヤモヤしている人も多くいるでしょう。

一度、今の会社を飛び出して転職をすれば、再び戻ってくるのは難しいケースがほとんどでしょうし、もし転職先がもっと満足のいかない環境だったらと考えてしまい転職を躊躇してしまいますよね。

  • あなたが今の職場でモヤモヤしている原因は何か?
  • その悩みの解消には転職が本当に必要なのか?

をしっかりと分析することが大事です。

例えば、昔から海外への憧れが強くて、いつかは海外で働いてみたいと思っているけれど、今の環境の延長上には海外で働く未来が見えないという場合。

もし今の会社が海外展開をしている会社であれば、転職ではなくて部署異動を本気で願うという道でもモヤモヤが解消できるでしょう。

あなたが現状モヤモヤしている悩みを、今の会社で解決する方法はないかを考えて、実際に行動に移すことが大切です。

実際に行動におこして努力もして、それでも何も解決できないのであれば転職という選択肢を考える時だと思います。

そうすれば自分のなかでも納得感のある転職が出来ますし、書類や面接で伝えるあなた自身の転職理由にも非常に説得力が出てきます。