外資系企業の実力偏重主義、クビやリストラは本当にある?

外資系企業といえば実力偏重主義で、ガツガツした社員が集まり食うか食われるかの過酷な環境・・・そう想像されている方は少なくないと思います。

この記事では筆者が実際複数の外資系企業へ勤めた経験をもとに、雇用や実力偏重主義に対しての実情をご紹介します。

キャリアアップを求め外資系企業への転職を検討したが、このようなイメージや雇用の不安定な印象があるがために一歩踏み出せないという方も多いのではないでしょうか。

外資系企業は多くの場合、少数先鋭でどのポジションであってもかなり仕事を任され、決定権を譲渡されます。

自分のポテンシャルを見出すことができ、自分で仕事を回すことが多い分、やりがいを感じやすいかもしれません。

外資系企業への転職はキャリアや自身の成長にとって非常に前向きな選択肢になりえます。

この機会を外資系企業へのネガティブなイメージや雇用への不安により逃してしまうことは勿体ないことではないでしょうか。

実際、外資系企業は実力主義なのか

結論から言うと、典型的な日系企業と比較すると外資系企業は実力主義です。

ちょうど日本のIT系企業やベンチャー企業を想像してもらうと分かりやすいかと思います。

①日本に支社を持つ外資系企業はほとんどが少数先鋭

私が現在勤めている外資系企業では、最終面接の面接官は日本支社長でした。

面接の最後に言われた言葉は今でも鮮明に覚えています。それは「この会社は日本企業の競合他社と比べ、人員は3分の1。だが利益率は倍を求められる」でした。

厳密な数字かは定かではありませんが、おそらく意味としては、例えば売り上げ1億円につき6人の担当者がつく日本企業に比べ、この外資系企業では担当者は2人であり、その上様々な面で効率を追求し利益を出すことが求められるということです。

「過酷!」と思われがちですが、人が3倍いると業務は分散されチームワークが生み出されますが、チームワークのデメリットは、物事の決定に要する時間が増えることや、単独での決断や満足のいくところまで自ら動けないという点があります。

少数先鋭は大変な分、自分が経営者になったかのような責任を持つことができます。そういった点にやりがいを感じられる方は最適な環境かもしれません。

外資系企業の報酬が日本企業より多い理由は、大きくこの少数先鋭の戦略にあります。

このような環境では、言うまでもなく一人ひとりの実力(結果を出すこと)が非常に重要になります。

外国の(特に欧米)人事制度により、実力を重視する傾向にある

今では様々な採用の仕方や仕事の仕方が日本企業でも普及し始めてはいるものの、多くの場合大手企業は毎年一斉に卒業生を採用し、何年もかけて企業が求める人材像へと育成していきます。

この場合、卒業生には採用時のスキルよりも、採用後の数十年後どのような人材に育っているかを重視し、企業への適合性や知能の素質などを見極めることが多いかもしれません。

一方、多くの外資系企業の本国である北米やヨーローッパではどのような制度があるのでしょう。実は、大半の国では新卒採用という枠組がないのです。よく現地の学生が卒業間際になるとこう嘆いています。

「エントリーレベル(最もジュニアなポジション)でも3年の職務経験が必要とはどういうことだ!」

確かに海外ではよく見かける求人条件ですが、その理由は多くの外国企業は一般職という枠がなく、ポジション別採用を行うからです。

採用されるには、そのポジションで必要となるスキルが必要となります。よって、学生であればインターンシップや、大学を通じて在学中に企業に派遣され半年から数年実務を体験する制度などを利用し、卒業をするまでには実務に必要なスキルを身につけなければいけません。

この点も、外資系企業が実力を重視する背景の一つです。

外資系企業で実力を出せないとすぐにクビ・リストラされるのか

外資系企業はスキルや実力を重視するため、クビやリストラにされやすいと思われがちです。

しかしながら、実際は実力を重視するがゆえに、その実力とは何か?どう図るのか?という点が非常に明確になっている企業が多いのです。

「上司や先輩の背中を追う」などの曖昧な目標ではなく、実力やスキルの定義がしっかりとされている分、その中で長所・短所を見極め、伸ばす必要があるところに集中できます。

この人事考課制度の考え方は、実力主義の外資系企業でのクビ・リストラに大きく関連します。

外資系企業のクビ・解雇について

まずクビとは「解雇」という形をとりますが、この状況はどのような場合起こりうるのでしょうか。

日本企業・外資系企業で共通のことですが、解雇は法律や重要な社内規定の違反によりおこります。

その他は企業側が人材を一方的に解雇することで、大抵の場合は企業へ悪影響や損失を起こす場合です。

そもそも日本国内で法人を持っている以上、外資系企業であっても日本の労働法を守る必要があるため、会社も従業員を解雇をすることは容易なことではありません。

これは何も外資系企業特有の話ではありませんので、通常求められる仕事をこなしていれば全く心配する必要はないでしょう。

もちろん外資系企業は実力を重視しますが、その分どのラインまで達成すべきかが明確で、達成できない場合は上司や人事がしっかりとサポートに入ることがあります。

私の勤務している外資系企業は年間ごとに目標設定と評価を行いますが、大抵は問題なく普通かそれ以上の評価を全員受けます。

あまりにも評価が低い場合は、その時点で上司や人事との面談も開催され、研修制度で必要な実力がつくように数年をかけて育成に入ります。

外資系企業も人材の採用と育成にかなりの投資をしますので、その分しっかりとサポートもしますし、実力がすぐに出ないからといってすぐに解雇ということは、他の外資系企業で働く友人からも聞いたことがありません。

外資系企業のリストラについて

リストラに関しては、「解雇」と違い大抵の場合は対象者の合意を得た上で実施される組織改編です。

日本企業の場合は業績低迷や、事業部の閉鎖、生産拠点の変更による工場の閉鎖など様々な理由でリストラが行われます。

外資系企業も同じく、業績やビジネスの変化により起こるものですので、日本企業・外資系企業とわず起こる場合は起こります。

外資系企業の中でも大手企業など安定したものからベンチャーの少人数経営のものもありますので、リストラなどのリスクを考慮する場合は事前に企業の業績や今後の方向性などを確認するといいでしょう。

外資系企業はちゃんと定年まで働けるのか

定年まで働くことはもちろん可能です。

私が勤務している企業は、日本企業と同じように定年退職者はいますし退職金制度も万全です。むしろ退職後の再雇用制度もあり定年以降も勤務を続ける方がいるほどです。

しかしながら、実際は部署により年齢層が異なり、例えば先方との長期的な関係性を重視する営業職や、長年の知見が必要な技術開発や生産系の部署の方が、割と定年まで続ける方が多いように感じます。

マーケティングなどの職種的に業界内の転職が多く、そういったキャリアアップを目指す方が多い部署は、割と平均年齢が若く、定年まで続ける方は数人程度です。

定年まで働いてもらうことは企業にとっても非常にメリットのあることですので、ご自身が求めるのであれば企業の制度などを事前に確認しておくと良いかもしれません。

外資企業の人事評価制度は日本企業とどんな違いがあるか

すでに実力偏重主義のトピックで触れていますが、人事評価制度もこの実力を重視することに基づき明確な目標を持ち、それを達成するような形で評価されることが一般的です。

日本企業との違いに関しては、日本企業では特に非管理職の場合は人事評価や報酬に連動する評価は企業単位や部署単位での業績であることです。

もちろん歩合制などを除いた一般職のケースですが、このように団体としての評価を重視し全体的にパフォーマンスを上げる日本企業と対照的に、外資系企業は少数先鋭の中で個人が担当する範囲が広い場合が多いため、個人評価が一般的とされます。

個人評価の方が自分の努力や裁量で左右されることが多いため、他人や関わりのない部署のせいでボーナスが下がったり、人事評価が下がることはなく平等に感じるかもしれません。

ただし、個人評価となると何に対して評価されるのかが非常に重要になるため、その年や期間の目標設定と評価方式を個人ごとに決める際は自ら上司と交渉をし、できる限り現実的に達成できそうな条件になるようにします。


最後に、外資系企業への転職を検討している方には上記のような不安要素は物によっては事実と異なることもありますが、大半は日本企業か外資系企業の間にある差ではなく、その応募する企業の制度や業績によるものです。

実際のところ、年功序列制度で、安定して給料をもらい続けて定年まで会社に勤め上げるという会社は日本の会社でも既にほとんど無いと言っていいでしょう。

そういう会社はどんどん競争力が下がっていきますので、逆に不安に感じるべきです。

ビジネスの現場はどうしても競争社会であり、結果を出すことが求められるのが本来の姿です。結果を出す人も出さない人も、給料が上がっていく安定があったのは高度経済成長期からの30~40年の日本が異常だっただけです。

キャリアアップややりがいのある仕事、スキルや実力を着実に身につけるのには外資系企業は最適な環境ですので、しっかりと事前の下調べを行い将来の勤め先のことをできる限り把握しましょう。