ネットワークエンジニアの業務内容:設計構築とは

情報処理関連分野において、コンピューターネットワーク上のシステムを取扱うエンジニアのことを、「ネットワークエンジニア」と呼びます。

ネットワークエンジニアの職域には大きく上流工程と下流工程に分かれ、ネットワークシステムの運用や保守、監視など稼働後の業務は下流工程と呼ばれます。

ネットワーク設計構築の業務領域は、下流工程で培ったスキルを活かした上流工程としての位置付けで、「ネットワークエンジニアの花形」とも称されています。

ネットワーク設計構築のおおまかな業務の流れ

ネットワークエンジニアにおける設計構築の作業フローをまとめると、

  1. 顧客からのヒアリング
  2. 必要に応じて実地調査をして要件定義書を作成
  3. 簡単なネットワーク構成図を作成
  4. SEや営業とプレゼン提案
  5. ネットワークシステムの詳細な設計図と仕様を作成
  6. ネットワーク構築

といった流れになります。

会社の規模によっては、見積もりや請求書の作成などの業務もネットワークエンジニアが行います。

案件受託後の大まかなプロセスは、ネットワーク機器やラックの購入に始まり、ネットワーク機器の構築と検証作業、コンフィグの流し込みなどのインストール作業があります。

全体を通じて最も大事なことは、お客様からお話を伺う姿勢です。顧客が望んでいるものは何なのか、要求定義を引き出した上で、実現するためのネットワーク環境を形にして、お客様の希望に沿った内容なのかどうかすり合わせします。

経験値のみに基づいた設計内容を、顧客に押し付けるのは良くありません。顧客第一を念頭において、運用監視や保守のスキルを活かしつつ、双方がWin-Winとなる関係を築けるようにしておくことが大切ですので覚えておきましょう。

 ネットワーク設計構築の業務内容

ヒアリング、要件定義、提案

新たなネットワークシステムを導入するための初期段階として、なぜシステムを作る必要があるのか、そのシステムに何を求めるのかといった開発目的を明らかにするところから始めます。

業務効率を高めたいのか、ランニングコストを削減したいのか、情報共有の一元化を図りたいのか等、ねらいを明確にすることでシステム開発の目標が定まるためです。

目的が複数ある場合は優先順位付けを行い、最優先事項を明確にして犠牲にしてもよいものがあるかどうか、顧客(社内であることも)にヒアリングをして確認します。

これらを元にして、ネットワークシステムの要件定義書を作成していきます。

計画段階では、新規システムの構築案件や、既存システムのリプレース案件など、顧客から提示される要件定義書には様々なものがあります。

ネットワークエンジニアの職務として、顧客の要望を確認しつつ、要件定義書に基づいて提案書を作成します。担当SEや営業と連携して作成することも多いでしょう。

ネットワークエンジニアは、顧客に対して提案書に基づいたプレゼンテーションを行い、どれぐらいの開発規模になるか社内・顧客と相互理解を深めていきます。

一方で、制約条件があるかどうかもこの段階で確認しておきます。

納期はいつまでか、かけられる予算はどれぐらいかを把握しておくことが大切なポイントです。

高価な機器を導入すれば顧客の要求品質を満足できますが、多くの場合、限られた予算の中で目標を達成する必要があり、無尽蔵にお金が使えることはほとんどありません。

限られたコストの中で、顧客の目的を最大限満足させるには、必達事項の明確化や、要求仕様の精度を高めていくことが重要です。

提案内容が受け入れられ、案件を受注することができたら、達成目標を定めた上でどのようにシステムを構築していけばよいかを設計していきます。

提案を「プリ」、設計を「ポスト」と呼んで分業化している会社もあれば、どちらも同じネットワークエンジニアが一括して行うこともあります。会社や案件の規模に寄るでしょう。

システム設計

次に、要件定義書で定められた要求仕様を満たすためのネットワークシステムを設計していきます。

機器の配線や接続する構成などの「物理構成」を第一に考え、パケットを送受信する機器を判別するためのIPアドレスや、データ配送経路を決定するルーティングの設計など「論理構成」を検討していきます。

安全性についても考慮する必要があり、不正な通信を傍受した際に遮断するための方法についても盛り込んでおきます。

ネットワーク上では様々なデータを取扱うことになるため、データの優先順位を決めておくことも大切なポイントです。

どのアプリケーションソフトのデータを優先にするか順序を決めますが、業務に多大な影響を与えるデータについて優先度を高めに設定しておくことが無難な対応です。

物理構成や論理構成を組み立て、安全性を考慮したら、その内容が要求仕様を満足しているかどうかを確認し、欠陥が見つかった場合は再度検討し、機能性を高めていきます。

設計段階においては、要求仕様をもとに要件を詳細に定義しつつ、顧客説明のための設計資料の作成、機器パラメーターの定義、設定ファイルの意味合いを持ったコンフィグ作成などを行います。

システム構築

システム開発目的に合わせた設計が完了したら、設計資料や機器のコンフィグに基づいた構築作業に移ります。

実際に現場で機器を配置してケーブルなどを接続して設定をしていく作業をしていきます。

具体的には、ネットワーク機器を設置するためのラッキング作業や、機器間のケーブル接続、定義付けした設定ファイルのコンフィグ投入、ネットワーク機器のスイッチやルーター設定などの動作確認を行い、稼働に向けての準備を進めていきます。

構築作業の中で行うテスト作業では、試験書類に基づいた機器ごとの単体試験や機器全体の正常試験、トラブルを想定した障害試験などを実施します。

構築したネットワークシステムが、要求仕様を満足したものになっているかどうか、顧客の顧客のニーズに見合っているかどうか検査を行います。

テストが一発で完了することはあまりなく、動作確認上の不具合は少なからず発生するため、問題が生じても慌てず、設定に問題がなかったかなど正常な動作に向けて焦らずに確認作業を行うことが重要です。

ネットワーク設計構築といった上流工程業務を出来るようになるために

ネットワークエンジニアの設計構築を一人前に行うようなるための土台として、当然ながら運用監視や保守の知識やスキルと経験を積んでいることが大切です。

構築作業において必要な知識として、設計書を見てネットワーク機器の設定方法が思い浮かぶような知識が頭に入っているかどうかもポイントの一つです。

できるだけ多くの場数を踏み、ネットワーク構築部署で実践を積めるようにしておきましょう。

トラブルシューティングなどの経験を積むことが、実作業でスキルを身につけるための一番の近道です。

設計構築に必要なスキル

IT分野における技術者認定資格である「CCNA」や「CCNP」を勉強し、ネットワーク機器の実機で設定できるように訓練しておくことが理想的です。

設計作業に必要なスキルは、構築作業の延長線上ではあるものの、「CCNP」の出題範囲やサーバ、アプリケーションなどの奥深く幅広い知識が必要です。

シスコ技術者認定には5段階のグレードがありますが、「CCNP」はプロフェッショナルレベルの技術者を認定する上から3番目のグレードです。

ネットワークエンジニア間で有名な資格である「CCNA」の上位資格の位置付けで、「CCNP」を取得すると、大規模ネットワークの導入や運用、保守などを行う技術を有していることが証明されます。

設計に従事するネットワークエンジニアは、顧客が抱えている課題や問題点を吸い上げ、解決するための手段をシステム開発によって提供する必要があります。お客様に対するヒアリング技術、コミュニケーション能力も忘れてはいけないスキルの一つです。

「言った言わない」問題を起こさない、構築業務の段階で「こんな仕様のはずじゃなかった」といった事にならないために、コミュニケーションスキルはとても大切になります。

必ずしも話が上手くじょう舌である必要はなく、相手の言っていることをしっかりと理解して、自分が理解している内容と齟齬がないかどうかを確認するスキルのことです。

議論して決まった内容をしっかりと分かりやすいドキュメントにしていくスキルもここに含まれます。