広報・IRの仕事内容と年収相場について

広報・IRの仕事内容と年収相場についてこんにちは。広報・IR部門で10年働いている徳永です。

広報・IRは、社長の代わりに「企業のこと」を世間にアピールする仕事なので、とてもやりがいがある「楽しい」仕事といえます。

一方で、会社には必ず「負の部分」があって、それを広報・IR担当者が背負わされることもあるので、「大変」な仕事でもあります。

そんな広報・IRの仕事内容や気になる年収について私の経験を踏まえて書いていきます。

広報・IRの仕事内容

まず簡単に広報・IR部門での仕事内容について触れておきます。

広報・IRは広報部など同じ部門にまとめられることもありますが、それぞれ仕事内容が異なります。

広報の仕事内容

広報とは海外ではPR(Public Relationsの略)と言われます。

簡単にいえば、一般の人達と自社の関係性を築いていく仕事のことです。

企業は色々なサービスや商品を作って販売したり、社会に貢献する活動を行っていますが、何もしないとなかなか誰にも知られることがありません。

そこで自社の活動内容を社会に正しく理解してもらい、認知や好感度、ブランドイメージを向上させていく仕事が必要になってくるのです。

広報担当者の主な仕事内容は下記のようなものがあります。

  • プレスリリースを作成する
    商品やサービスのリリース、イベント開催、研究・調査、危機対応など自社の活動に関する発表文面を作成します。
  • メディアとの関係構築
    テレビ、新聞、ラジオ、出版社、ITメディアなど様々なメディア企業の担当者との関係構築を行います。良い人間関係を築けていれば、自社の活動内容を好意的に取り上げてくれる可能性も高くなります。
  • 取材対応
    プレスリリースや広告宣伝などを見て興味を持ったメディアが取材依頼をしてくることも多々あります。取材では様々な角度から質問されるので、広報担当者は自社のことをしっかりと正しく理解している必要があります。
  • 危機対応
    情報漏えいやリコール問題など自社が危機に面した際に、どのように社会への発表を行うかなどを考え遂行する仕事です。社長や役員を含め、関係者と連携をして迅速な判断をして仕事を進めることが大切になります。
  • SNS対応
    最近ではTwitterやFacebookなどSNSを利用した広報活動を行う企業も増えています。
    SNS上で自社のことを魅力的に面白く伝えることで、ファンを獲得していきます。
  • 社内広報活動
    自社の従業員に自社の活動について正しく伝える仕事です。
    全社会議や社内報の作成などの仕事があります。

広報の仕事が、広告宣伝と違うところは、メディアの広告枠を購入して広告を出稿するので、企業側の思う通りに確実に情報が伝わっていきます。また最近では、Youtuberやインスタグラマーなどのインフルエンサーにお金を払って、商品・サービスの宣伝をしてもらうことも多いですね。

一方で、広報活動では、メディアに対して自社の活動を伝えますが、メディアが自発的にその内容を取り上げてくれることで、情報が社会に伝わっていきます。

その情報に価値があるかを判断して、取り上げるかどうか、またどのように取り上げるかはメディア次第です。

そのため、いかに魅力的に自社の活動を、正しくメディア担当者に伝えられるかが大切です。

IRの仕事内容

上場企業の場合は、IR(Investor Relations)という仕事もあります。

いわゆる投資家との関係構築です。

投資家向けに自社の経営情報を正しく魅力的に伝えることで、自社の価値を株式市場で認知させ向上させていく仕事になります。

大きく分かりやすい仕事としては、決算説明会の資料作成や取り仕切りといった仕事があります。

広報とIRの仕事の違い

アルコール大手のC社が、アメリカのウイスキー会社を買収したとします。

このときC社の広報部門がやるべき仕事は、ブランドのイメージ戦略をどのように立てるか、ということになります。

広告宣伝担当と連携しつつ、メディアにどのように取り上げられるべきか、その結果としてどんなブランドイメージを構築したいのかを考えて実行していきます。

一方で、IR担当者は、広報担当者とはまったく別のアピールを考えています。

C社が買収を発表したとき、一部のメディアが「買収金額が高すぎではないか」と否定的に報じたのです。

C社内では「ニュース発表後、当社の株価が下落したのは、そのニュースの論調のせいではないか」と議論されました。

そこでIR担当者としては、「決して高値をつかまされたのではない」ということを、投資家たちに説明しなければなりません。

IR担当者は、経理・財務部門と連携し、「今回の買収が利益の押し上げ要因になる」証拠を集め、それをプレスリリースにして経済記者たちに情報提供しなければなりません。

以上のことをまとめるとこうなります。

アルコール大手がアメリカのウイスキー会社を買収したときの広報とIRの仕事の違い

アピールする世間アピールするモノ
広報部一般の消費者アメリカのウイスキーがもつ「本格派」という印象を、自社ブランドに組み込む
IR部投資家買収によるシナジーや、経営への貢献度を示す、具体的な数字

業界によって仕事内容も変わる

同じ広報・IRの仕事でも、業界によって「アピールする世間」と「アピールするモノ」は違ってきます。

例えば、携帯電話会社が半導体企業を買収すれば、一般消費者向けにアピールすべきことは少ないかもしれません。それよりも投資家向けの情報を手厚くする必要があるでしょう。

しかし、同じ携帯電話会社がロボット産業に進出するとなれば、今度は一般消費者の関心がグッと高まるので、テレビCMやイベントといった広報活動が効果的です。

このように、広報・IRの仕事は、「広報とIR」でも違ってきますし、「業界ごと」によっても内容が変わってきます。

広報・IR職の楽しいところ、やりがい

広報・IR職の楽しいところ、やりがい

「うちの会社ってすごいでしょ」と言える快感

もしIT企業のA社が、AI(人工知能)技術の特許取得に成功し、その製品を発表できることになったとします。

各メディアの記者たちがA社に訪れ、製品の内容や開発の裏話などを聞きたいと訪れるでしょう。

A社としては、社長と開発責任者の取材を設定することになり、それを取り仕切るのが広報担当者です。

自分の会社を大々的に宣伝できるので、広報担当者は誇らしい気持ちになるでしょう。

広報・IR担当者がニュース内容や論調を決定づける

自社の活動内容が取り上げられるニュースの内容や論調を決定づけるのは、広報・IR担当者のシナリオなんです。

上場企業で働いていて、決算の数字がまとまり、過去最高益を更新したとします。

同業他社が苦戦するなかで、自社が一人勝ちできたのは、新サービスがヒットしてマスコミに何度も取り上げられ、SNSでも話題になったからです。

社長と経理担当取締役による決算発表では社長は満面の笑みで記者たちの質問に答えます。

決算発表が終了してからが、広報・IR担当者の腕の見せ所です。

記者たちは、社長には「表向きの大まかな内容」しか尋ねません。

決算内容の詳細については、長い時間を拘束しても構わない(と記者たちが考える)IR担当者に集中することになります。

IR担当者はそれを想定し、前日までに何度も会社幹部と話し合いを重ね、メディア向け資料を作成して準備しておきます。

そして決算発表のことは、その日の夜のニュースや、翌日の朝刊で取り上げられますが、そこで紹介されるのは、社長や経理担当取締役のコメントです。

しかし、ニュースや記事の内容を決定付けたのは、広報・IR担当者がつくったメディア向け資料なのです。

広報・IR担当者が作ったシナリオ通りにメディアが情報を取り上げてくれ、とてもやりがいを感じられる瞬間です。

優秀な広報・IRパーソンは「脚本家」である

世間の一般の人たちは、企業の内情を知りません。

それでも、ある企業は良いイメージを持たれているのに、別の会社には悪いイメージがついています。

それはメディアによって、企業イメージが作られるからです。

一般の人がある企業のことを知るのは、メディア以外ではほとんどありません。

そしてメディアが自社のことをどう取り上げるかは広報・IR担当者の脚本次第です。

だからこの仕事には大きなやりがいがあり、楽しいのです。

広報・IR職の大変なところ、辛いところ

広報・IR職の大変なところ、辛いところ

広報・IR部門は、社内で花形部署として扱われることもあるでしょう。

しかし実際の広報・IR担当者は、それほど浮かれていません。

それは、企業には必ず負の部分があり、広報・IR担当者は、それも背負わなければならないからです。

自社の危機にどのように対応するか

横領、不正経理、粉飾決算、異物混入、リコール問題、不正融資などなど、企業がらみのニュースはネガティブな内容も多くあります。

自社が不祥事を働くという最悪の状況下で、広報・IR担当者はメディア対応をしなければなりません。

広報・IR担当者たちが、安易に「訴状を確認していないのでコメントできません」を乱発すれば、取材合戦はヒートアップして、かえって会社のイメージを傷つけます。

広報・IR担当者たちは、そんな自社の危機にどのように対応するかを考え、社長と共に前線で盾になって会社を守る必要があります。

業績の落ち込みによるダメージを最小限にする

不可抗力による業績不振で企業は投資家や市場からバッシングを受けることがあります。

企業の責務のひとつに、従業員の雇用を守る役割がありますが、売上高が落ち、赤字経営が続けば、ゆくゆくは従業員をリストラしなければならなくなります。

そこで広報・IR担当者は、会社が業績不振にある時にも、世間に対して「業績が落ちたのは事実ですが、円高や原材料高など不可抗力によるところが大きく、来期以降の経営に影響するものではありません」などときちんと根拠を示して説明する必要があります。

このような仕事は「後ろ向き」でもあるので、広報・IR担当者は結構辛いものがあります。

しかし、本来は「大けが」しても仕方がない状況を、広報・IR担当者の腕次第で「かすり傷」で終わらせることもできるのです。

ネガティブな業務も「重要な仕事」なのです。

広報・IRの年収相場(他の職種と比べて給料はどう?)

年収

広報・IR担当者たちの年収相場を見てみましょう。

転職エージェントDODAの調査によると、広報・IR部門の全年代の平均年収519万円で全職種100中で23位となっています。

平均年収ランキング2014職種別:株式会社DODA調査

広報/IRの平均年収や年収分布(2014年データ)を、男女別、年代別にご紹介。

広報・IRの年収相場平均年収ランキング2014職種別 広報/IRの平均年収:DODA

また、年代別調査でも、20代378万円、30代524万円、40代701万円となっており、キャリアを積む毎に順調に年収が増えていく職種と言えます。

ただ、広報・IR部門の場合、成果を示しにくい特徴があります。

例えば、自社製品が飛ぶように売れたら、開発者や営業パーソンの功績は目に見えますが、「広報の仕方が良かったから売れた」という評価にはつながりにくいでしょう。

よって、成果主義が導入されている企業では、広報・IR担当者の賃金は、好成績を叩きだしている営業パーソンや、新商品を次々開発しているエンジニアに比べると低いことが予想されます。

実際の求人例からみる平均年収

転職サイトで見つかる実際の広報・IRの求人例を見てみましょう。

eコマース国内最大手が設立した子会社、結婚情報サービスの広報担当者の求人例です。

仕事内容求めるスキル給与その他・待遇
メディア対応
プレスリリース
SNS管理
ビジネスコミュニケーション
基本的なパソコン操作
マーケティング経験
広報経験
月給26万円以上
経験と能力考慮
年間休日113日

本求人では、ボーナス年2回を含めて、年収は約380万円以上といったところです。

次に、東京と大阪で、イタリアンやカフェを100点近く運営している飲食業で「店舗をマスコミに取り上げてもらえる広報活動ができる人」を募集しています。

求人票の概要は次の通りです。

仕事内容求める人材給与その他・待遇
メディア対応
イベント企画
メルマガ配信
食と美のコラボ
プレスリリース
SNSとHPとテレビと雑誌の使い分け
飲食の経験は不問
月給30万円以上休日月7日
自社レストランで社割ランチ

年2回のボーナスが支給される企業のようですので、年収は450万以上といったところです。

この企業は「広報担当者」の仕事に「企画」の職務を加えているのがユニークな点です。

広報担当者は普通、社内の業務部門の担当者に「聞き取り」をしてから、マスコミに情報提供を行います。広報担当者が「企画部門担当者」を兼ねれば、プレスリリースの文面にも熱がこもるでしょう。