広報・IRに転職35歳限界説はある?広報・IRが転職できる年齢

転職35歳限界説。30代の転職について「転職35歳限界説」とは、有利な条件で転職ができるのは35歳までで、その年を超えると転職後の労働条件は悪化するという世間で言われている説です。

もちろんこれは一般論であり、どんな人にも当てはまるものではありませんし、業種によっても状況は変化します。

では、35歳以上の広報・IR担当者の場合はどうなのでしょうか。

ここでは、「他社の広報・IRに転職する場合」と「他の職種に転職する場合」でみてみましょう。

統計上は「45歳以上限界説」?

下記は厚生労働省が2015年に行った調査で、年齢別の転職前後での年収の増減をまとめたものです。

若い人ほど転職で年収が上る人が多く、年齢が上がるほど転職で年収が下がる恐れがあることが分かります。

転職で収入が増えた転職で収入が減少した
15~19歳66.4%0.1%
20~24歳43.6%24.0%
25~29歳47.1%31.5%
30~34歳44.4%32.9%
35~39歳43.3%33.1%
40~44歳43.7%33.0%
45~49歳36.2%39.3%
50~54歳33.9%46.6%
55~59歳28.4%45.9%
60~64歳18.4%59.9%
65歳以上29.2%52.9%

出典:「性・年齢階級・事業所規模・現在の勤め先の就業形態、転職による労働条件(賃金)の変化別転職者割合」(厚生労働省、2015年)

例えば20-24歳では、転職によって収入が「増加」した人は43.6%いて、一方「減少」した人は24%となっています。約23%は転職によって年収は変わらなかったようです。

35歳はまだまだ転職で収入アップできる

転職によって収入が「増加した」と回答した人が、「減少した」を上回るのは40~44歳までで、45歳以上は、どの年代でも「転職で収入が減少した」割合の方が高くなっています。

では、「35歳」はどうかというと、43.3%が「転職で収入が増加した」と回答し、「減少した」は33.1%でした。

35歳であれば「チャンスがあれば転職にチャレンジして年収が増える可能性も高い」と言えそうです。

しかし、同じデータを使って、次のように言うこともできます。

「収入が増加した」が43.3%ということは、「減少した」の33.1%に「変わらない」と「不明」を合せると、56.7%に達するということです。

この統計から得られる教訓は、「転職には必ず収入減リスクがともなう」ということです。これは35歳以上の広報・IRパーソンの転職にも当てはまる「真実」です。

そもそも35歳転職限界説は古い

35歳で転職先が一気に見つけづらくなるという説は、10年以上前に言われたもので、2018年現在ではあまり当てはまらないのも事実です。

なぜなら、団塊の世代が退職していく日本市場では、人手不足がこれからどんどん進んでいくためです。

35歳以上だからといって、転職の可能性を諦める必要は全くないと言えるでしょう。

35歳以上の広報・IR担当者が他社の広報・IRに転職するときの限界

35歳以上の広報・IR担当者が、転職後も広報・IRを続けたいと考えるなら、次の5項目について注意しておく必要があります。

 1.自分なりの「成功法則」はあるか

転職希望先企業の人事担当の気持ちを想像してみてください。人事担当はあなたの履歴書に書かれてある「35歳」「広報・IR経験あり」という2つの情報に対して、「即戦力は期待できるけど、年齢が少しいってるな」と考えるでしょう。

つまり、あなたの「広報の方法論」がその会社にマッチしていれば、人事担当は面接に呼びますし、そうではなく「うちの広報理念はそうじゃないんだよな」と感じたら落とされます。

そこで、履歴書に添付する職務経歴書には、自分なりの「成功法則」を記述しておきましょう。

マスコミ取材をゲットできたプレスリリースや、SNSで大きな話題を読んだ企画は、堂々とPRしてください。あなた自身があなたを広報するつもりで取り組んでみてください。

2.採用面接で応募企業を褒めることができるか

採用面接に呼ばれたら、その企業を褒めちぎりましょう。もちろん、面接官が「わざとらしい」と感じたら失敗です。

しかし、35歳以上の広報・IRパーソンなら、企業の良い所を見つけるスキルが備わっていなければなりません。面接官もそれを期待しています。
根拠なく褒めていても、それはただのおべっかになってしまいます。

面接官は、「この応募者は我が社のどの事業に目を付けているかな」と構えてくるはずです。

転職希望会社のホームページはすべて印刷して、穴が開くほど読み込みましょう。IR情報が豊富に掲載されていたら、それに目を通すだけでは不十分で、経営分析までしてみましょう。
少なくとも3年分の「総資本利益率」「売上高利益率」「資産回転率」「流動比率」「自己資本比率」は頭に入れておく必要があります。

「企業を知る」ことが広報・IR業務の第一歩で、面接官はそのスキルがあるかどうかを最重視します。

3.その企業の商品またはサービスに触れたか

転職先でもまた広報・IR職に就きたいのであれば、転職希望先の採用面接に臨む前に、その会社の商品やサービスを購入することは、最低限のマナーです。

仮に、狙っている企業が自動車会社であっても、そのメーカーの自動車を買うことは難しいでしょうが、レンタカーでそのメーカーの新型車に乗ることはできます。

また、そのメーカーのディーラーに出かけて、販売員の営業トークを聞いたり、値引き幅を尋ねたりするだけで、「そのクルマの個性」が見えてきます。

それくらいの調査能力は持っておかないと、「広報・IRの即戦力になれる」と判断してもらえないでしょう。

慰留される人になれ

35歳以上で、広報・IRから他社の広報・IRに移ることは、無謀な挑戦ではありません。
ただ、現段階で「どんな商材でも広報してみせる」といった意気込みとそれを裏打ちするスキルがないと、年齢的に厳しいかもしれません。

転職を希望する人全員に言えることですが、退職願を出したときに慰留されることが確実でない人は、転職リスクが大きいでしょう。

35歳以上の広報・IR担当者が別職種に転職するときの限界

それでは次に、35歳以上の広報・IRパーソンが、他社の別の職種に転職するときの注意点についてみてみます。

広報・IRから営業は可能か

もし営業職の求人票を出している企業の採用担当が、広報・IRで働いている35歳の人から履歴書を受け取ったら、真っ先に「大丈夫かな、この人」と感じるでしょう。それは「営業のつらさに耐えられるかな」と心配するからです。

営業は、売ってなんぼの世界です。「要らない」と言う人の気持ちをひっくり返して商品を買ってもらう押しがないと、営業は勤まりません。

営業パーソンからすると、売上高に責任を負わなくてよい広報・IRの仕事は、ぬるま湯仕事に感じます。もちろん広報・IRの仕事をリスペクトしている営業パーソンはたくさんいますが、そういう人でも「比べてみたら、やっぱり営業の方が厳しいでしょ」と思っているでしょう。

広報・IRに長年携わっていて、これから営業への転身を検討している人は、まずは営業の厳しさを肌で感じておく必要があるでしょう。住宅メーカーの営業を希望している人は、3カ月で何軒売るのか「仮の目標」を立てて、そのためにすべきことをノートに書き出してみてください。

身内の人に家を売れますか? もしくは、自分で自社住宅を購入できますか?

この問いは、カーディーラーやがん保険、証券など、高額商品やリスク商品の営業を目指す人にも有効です。

当面は身銭を切る覚悟がないと、35歳以上の営業未経験の広報・IR担当者が、営業に転身しても通用しないでしょう。あきらめた方が無難です。

逆に「そんなの当然だ」という覚悟がある人なら、35歳どころか40歳45歳でも営業への転身は成功するでしょう。

経理・財務への転職は可能か

経理・財務の仕事は「文系仕事の技術職」といえます。数字こそすべてで、0か1かのオール・オア・ナッシングの世界だからです。

つまり、広報・IRから経理・財務に転職するには、理系の仕事に転向するくらいの勉強が必要だ、ということです。

IRは決算書を熟読し、外部の人にその解説をする仕事ですが、IR業務に慣れているからといって決算書がつくれるとは限りません。逆は真なりで、決算書をつくる経理・財務パーソンが、IR業務を遂行できるわけでもありません。

つまり、レーシングドライバーがクルマをつくれるわけではありませんし、クルマの設計者が自分がつくったクルマでレースに出ても勝てるわけではないのと一緒です。

しかし、転職支援のプロは、転職を成功させるコツとして「1歩後ろを走る企業を狙え」とアドバイスしています。

つまり、業界最大手に勤める35歳のIR担当者でも、業界5位の会社の経理・財務であれ活躍できる、というのです。

超一流の経理パーソンから鍛え抜かれたIR担当者の経理スキルは、少々業績が劣る企業の経理パーソンを追い抜いているかもしれないのです。

なので、広報・IRから経理・財務への転身でも、「35歳以上だからあきらめよ」とは一概には言えないのです。

「限界」を決めるのはあなた自身

さきほど紹介した厚生労働省の表から、一部を抜き出してみました。

転職で収入が増加した
60~64歳18.4%
65歳以上29.2%

なんと、65歳以上の「転職で収入が増加した」率の方が、より若い60~64歳より高いのです。これは何を意味するかというと、「65歳でも必要とされるほどのスキルを持っている人は、まだまだ給料を上げることができる」ということです。

なので「転職35歳限界説」は、単なる集計結果であり、限界を決めるのは転職者自身なのです。慎重に物事を考え、大胆に行動することをおすすめします。