30代広報・IRの職務経歴書。転職成功のための書き方

30代の広報・IR担当者が一瞬でも「転職しようかな」と思ったら、すぐに職務経歴書の作成に取り掛かってください。

もし最終的に「転職しない」と決めた場合でも、職務経歴書を書くことで業務整理が行え、いつもの仕事に役立ちます。

そして、「よし、やっぱり転職活動を始めよう」となった場合、職務経歴書づくりは相当手間がかかります。なので「いま」つくっておいた方がいいのです。

人事部の採用担当者は、30代の広報・IR担当者から送られてきた職務経歴書を熟読します。この書類が採用面接を呼び寄せるカギを握ります。

職務経歴書の重要性

すべての転職者にとって職務経歴書は重要ですが、広報・IR担当者の転職では特に重要です。

職務経歴書とは「広報・IRの見えにくい仕事を見える化する」という意味を持ちます。

例えばグラフィックデザイナーであれば、「このホームページは私が作成しました」と示すだけで、採用担当者はその力量を計ることができます。

経理担当者の採用面接でも、面接官が2~3質問すれば経理の知識を見積もることができますし、経理領域は資格制度がしっかりしているので簿記やFPの資格の有無によってもスキルが分かります。

しかし広報・IR担当者は実績を示しにくい仕事ですので、転職者自身が「これをやりました」「こういう結果を導き出しました」とPRしなければなりません。

職務経歴書は、見えにくい仕事を見える化する、とても優れたツールなのです。

職務経歴書は履歴書の「続編」、だかりじっくり読まれる

履歴書は「つかみ」、職務経歴書は「続編」です。

大量の履歴書・職務経歴書を受け取る人事部員は、読むことに飽き飽きしています。なので、履歴書を読んで興味がわかなかったら、職務経歴書には目を通しません。

逆に、履歴書を読んで「この人、面白そう」と感じたら、職務経歴書は熟読します。

みなさんも、小説や映画の続編にがっかりさせられた経験があるでしょう。職務経歴書も続編なので、「読んだものの大したことなかった」と思われないようなものに仕上げましょう。

職務経歴書に書くべき4つのこと

まずは職務経歴書に書くべき4つのことをおさらいしておきましょう。

1.職務要約

今までのキャリア全体の総括を3〜5行くらいでまとめたものです。

キャリアの目次的な役割を持っており、ここが一番最初に採用担当者に読まれる部分であり、その後の職務詳細をしっかり読んでくれるどうかが決まる場所でもあります。

2.職務詳細

経験してきた職務内容を具体的にまとめたもので、職務経歴書の大半を占める部分です。

具体的に、でも冗長にならないように、経験してきた仕事を伝えましょう。各職務にはそれぞれどんな実績を上げたのかを書くようにしてください。また実績はなるべく数字を使って書くのがポイントです。(例:○○業務の効率化により、部内の残業時間が○%削減された)

3.貴社で活かせるスキル・経験

職務詳細のなかで得てきたスキルや経験のなかで、特に応募先職種・ポジションで役立つものを3~5行くらいで書く部分です。

4.自己PR

応募先企業の発展のためにあなたという人物がどのように貢献できるかを伝える部分です。外資系企業への転職では書かない場合も多い。

3で上げなかったスキルや経験を伝えたり、採用担当者が感じそうなあなたのハンデ(年齢やキャリアブランクなど)を先回りしてフォローしておくような書き方も良いでしょう。

職務経歴書を書くための準備

職務経歴書は別名「スキルと実績と経験の棚卸し」と呼ばれています。転職市場がこれだけ膨らむと、昔ながらの「履歴書と面接」だけで優秀な人材を採用することは不可能です。

そこで採用企業は転職希望者に職務経歴書を書かせて、「何ができるか」と「何をしてきたか」を把握しようとするのです。この企業側の意図を意識しながら、職務経歴書を書きましょう。

仕事のすべてをエクセルに打ち込もう

採用担当者をひきつける職務経歴書を書くには、十分な準備が必要です。まずは、業務日誌や手帳などから、何をいつどこで行い、どういう結果が出たかをエクセルに書き出していってください。

例えば、スマホ販売店の運営会社の広報・IRパーソンなら、このような内容になるでしょう。

プロジェクト名期間内容実績・結果
新型スマホ販促キャンペーン2015/1/1~
2015/6/30
S社が新型スマホを発表。これに合わせて我が社初のラジオCMを制作。特に10代と高齢者をフォーカス。契約数の純増で目標達成。「祖父母が孫に買い与える」というコンセプトが受けた。
小学生向け「正しいスマホの使い方教室」2015/10/1~
2015/12/20
親が有害サイトから子供を守るのは限界。子供自身の意識を高める必要があることから、地域の小学校でスマホ教室を開催。契約数は大きな影響はなかったが、学校の教師は意外にガラケーユーザーが多かった。イベントを通じてスマホへの理解が進んだので、今後のターゲットになることが分かった。

どんなに小さな仕事でも構いません。また、空振りした企画でもOKです。とにかく「やったこと」と「実績」を書き記してみてください。

この作業により、「あなた」に見えていなかった「あなた」が見えてきます。そして、自分が見た「私」を職務経歴書に書き写せばいいのです。

職務経歴書のフォーマットを決めよう

職務経歴書の書き方には大きく3パターンがあります。それぞれメリット・デメリットがありますので、あなたの経歴がより魅力的に見えやすいフォーマットを選ぶようにしてください。

編年式(Chronological Resume)

最もオーソドックスな作成方法で、採用担当者も見慣れているため読む負担が少なくなります。

  • 2000年3月〜2012年4月
    • ○○株式会社 ○○部配属 職位○○
    • 職務内容
    • 実績や身につけたスキル等

メリット:時間軸と勤務先と職務ごとに書いていくので、一通り読むことで、あなたがどのようにキャリアを積んで成長してきたかが理解出来ます。

デメリット:転職回数や異動が多いのが目立つ

また年代順で古い年代から書いていく方法と、逆年代順で新しい年代から書いていく方法があります。

30代以上の転職であれば、新しい職歴がそのまま次の転職先で活かされるケースが多いので、逆年代順で書いていくのがオススメです。

キャリア式(Functional Resume)

経歴やスキルごとに箇条書きにして書いていくフォーマットです。

  • ○○関連業務 (6年3ヶ月間)
    • 職務内容
    • 実績

メリット:経験やスキルが多い場合や、違う会社で同じ業務を行っていた場合などに内容が重複して冗長になりにくい。
また斜め読みでも、あなたのキャリアが応募先企業に役立つことが伝わりやすい。
転職回数が多くても目立ちにくい。

デメリット:キャリア形成の経緯が見えづらい。古い日系企業等の場合、採用担当者が見慣れていない。応募先企業での働くイメージがしっかり出来ていないと的はずれな内容になってしまう場合も。

コンビネーション式(Conbination Resume)

職務経歴や自己PRなど書くべきことは盛り込んだ上で、記述内容を上手く絞ることでA4サイズ1枚程度にまとめる形式です。例えば下記のような書き方になります。

  • 貴社で活かせるスキルや経験
    • ○○の経験
      ○○といった業務や○○を4年間行ってきた中で、○○といったスキルや知識があります。
  • 自己PR
    • 計数感覚の強さ
      エピソード
  • 職務要約
  • 職務詳細
  • 誇るべき実績

メリット:コンパクトにまとめることで読んでもらいやすくなる。伝えたいイチオシのポイントがしっかり伝わる。未経験職種への転職でも、未経験のハンデが伝わりにくい。職歴や転職回数が非常に多い場合にも目立たずにコンパクトにまとまる。

デメリット:内容がコンパクト故に、上手くまとめないと内容が薄いと一蹴される危険性がある。書くのに文章力・要約力のテクニックが必要。

採用担当者にとって魅力のある職務経歴書とは

「魅力ある職務経歴書」は「魅力ある職務経歴」がなければつくれません。

つまり、これまでの仕事が魅力的でなければ、当然のことながら、それを書面化した職務経歴書が魅力的になるわけがありません。

マスコミ露出回数は採用担当者が必ず食いつく

広報・IR業務における魅力的な職務とは、ずばりマスコミに取り上げられた実績です。特に日本経済新聞や、日経が大株主のテレビ東京系のビジネス番組に自分の会社が取り上げられたことがありましたら、必ず職務経歴書に書いておいてください。
大手企業の広報・IR担当者は、自社が日経に取り上げられることを「大金星」と呼んでいます。

もちろん、それ以外の全国区のマスコミに取り上げられた実績も、強力なアピールポイントになります。

自分が直接その取材に関わったわけではなく、先輩社員の広報活動のお手伝いしただけでも、正直にそのことを記しておけば記載してOKです。その場合、職務経歴書にはこのようにかけばよいのです。

某テレビ局のビジネス番組「K」で弊社製品が取り上げられた
(2016年3月放映)
同番組において弊社の製造工場が紹介されました。ビジネス番組の雄が取材に来てくれるということで、広報室が一丸となって取り組みました。

私は取材が円滑に進むよう、社内の調整役を担当しました。工場長が突如「テレビに出たくない」と言い始めたので、私が説得してようやくカメラの前に立ってもらいました。

このように書くことで、「広報企画を立てたわけではない」と正直に伝えることができますし、また「協力体制がしっかり取れる職場で働いていた人」というPRにもなります。

特殊スキルであるIR業務は遠慮なくPRしよう

またIR業務を担当していた人は、広報業務のみの人より、転職活動は優位に進むでしょう。決算発表や業績見通しを経済記者たちに説明する仕事は、並みの経理・財務知識では務まりません。経理担当役員の横に座ってしっかりサポートできる人でないと、この仕事は回ってきません。

ですので、IR業務については、職務経歴書のなかで遠慮なく自慢してください。IR担当者の中には、経理部と協力して決算資料をつくる「猛者」もいますが、そういう方であればなおのこと「経理に強いIR」を強調してください。

広報・IRのNGな職務経歴書の書き方

職務経歴書は、自分を高く売るためのツールです。
しかし残念ながら、履歴書で良い印象を与えたのに、職務経歴書が台無しにしたという事例は枚挙にいとまがありません。

書きすぎに注意

箇条書きにしたり、表でまとめたりと見やすい職務経歴書を書くのは当然ですが、それで書きすぎには要注意です。

文字がぎっしり詰まった読みてに負担をかける書類は、仕事上でもほとんど役に立たないのと同じで職務経歴書でもマイナスになります。

特に30代でこれをやってしまうと、要点をまとめて相手に魅力的に伝える書類作成能力不足とみなされて、書類選考で落とされる結果もあります。

A4用紙で2枚程度に押さえておくようにしましょう。

経歴を盛りすぎることは厳禁

まず、日本人の多くは「自慢話」が嫌いです。
特に企業の採用担当を任されるような有能なサラリーマンは、その傾向が強いでしょう。

なので職務経歴書から「嘘くさい自慢臭」が漂うと、書類選考で落選する可能性があります。

ただ、先述したIR業務だけは例外です。「20人の記者の前で決算発表をすることになり、常務と一緒に会見場に臨みました」や「上場後の初会見はほぼ私ひとりで切り盛りしました」といった内容はOKです。
IR業務はインパクトが強いので、「自慢」をしても自慢に感じられないのです。

しかし一般的な広報業務で嘘の自慢話はNGです。なぜなら自慢しようと思えばいくらでも盛ることができるからです。例えば、イベントが滑って、1000人キャパの会場に50人しか入場しなかったとしても、職務経歴書には簡単に「立ち見が出るほどの盛況でした」と書くことができます。

だからといって遠慮も禁物。事実をベースにしたアピールを

では広報・IRの職務経歴書は謙虚な方がいいかというと、そうでもありません。
自分のPRすら満足にできない人が、企業のPRができるはずがないからです。

例えば、広報資料をつくるときに心掛けていることや、ホームページの改修で自身が打ち立てた編集方針などは、遠慮なく職務経歴書に書き込みましょう。

「こういう仕事をしました」「こういう気持ちで取り組んできました」ということは、職務経歴書でないと採用担当者に通じないからです。

広報・IR職の職務経歴書ならこういう書き方が良い

ある企業の採用担当者が「広報・IRの経験がある人を採用したい」と考えたとします。なぜこの人は、そう考えたのでしょうか。

それはその会社の広報・IR体制が未熟だからです。
ニーズがあるところに売り上げが眠っているように、企業がほしがっているスキルを持っていたら、高い報酬で迎え入れてもらうことができます。

転職希望先企業の人材ニーズを把握しよう

つまり、広報・IR職を募集する求人票に「要広報・IR経験」とあったら、30代の人は大チャンスです。

その企業のホームページを閲覧してみて「顧客目線で不足している情報」を探し当ててください。これは建築会社に顕著なのですが、営業実績をほとんど載せていないホームページが散見されます。

営業実績がホームページにないということは、その会社には「実績を広報しよう」という発想がないということです。

しかしこれまで広報・IRで実績を残してきた方なら、企業の実績を広報することの意義とその方法をご存じのはずです。そういう方は、職務経歴書に次のように書いてみてください。

ホームページの改修によって受注増につながった事例弊社のホームページに受注実績の記載がないことに気付き、営業部の許可をもらい実績一覧をPDFにして掲載しました。
数カ月後、営業サイドから「見込み客が事前にPDFを見てくれていて、商談がスムーズに進んだ」と評価してもらえました。

社内広報の実績も好印象をゲットできる

広報・IR担当者が書く職務経歴書で、書き漏れしがちなのは社内広報での実績です。

社内報の編集を担当していたら、必ずそのことを記載しておいてください。というのも、「我が社は社内広報が足りない。だからうちの社員たちは連携が下手なんだ」と感じている経営者は少なくありません。

社内イベントにこまめに出向いて、写真を撮ったり一緒に弁当を食べたりして交流した経験があれば、それを職務経歴書にしっかり書き込むことで、採用担当者に「うちの会社にもすぐに溶け込んでもらえそうだ」と思ってもらえるでしょう。